2024年2月29日

ここ数年で、「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」という言葉を、メディアなどを通じて目にする機会が増えてきました。世界には多種多様な社会課題が存在します。それらの課題を解決するための取り組みもさまざまで、 各国政府だけではなく、企業や地方自治体、学術・研究機関、市民一人ひとりに至るまで、すべてのひとの行動が求められています。

SDGsときくと、おおがかりな施策がイメージされがちですが、身近なSDGsへの取り組みのひとつとして、AED(自動体外式除細動器)の設置や救命訓練の実施などを推進する企業や自治体が増えています。
ここではAEDをキーワードに、SDGsとの関連性や具体的な取り組みについてご紹介します。

SDGsとは

SDGsとは

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、2015年9月の国連サミットで採択された、「誰一人取り残さない(leave no one behind)」持続可能でよりよい社会の実現を目指す国際的な目標です。2030年を達成年限として、以下の17の目標が掲げられています。

  1. 貧困をなくそう
  2. 飢餓をゼロに
  3. すべての人に健康と福祉を
  4. 質の高い教育をみんなに
  5. ジェンダー平等を実現しよう
  6. 安全な水とトイレを世界中に
  7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  8. 働きがいも経済成長も
  9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
  10. 人や国の不平等をなくそう
  11. 住み続けられるまちづくりを
  12. つくる責任 つかう責任
  13. 気候変動に具体的な対策を
  14. 海の豊かさを守ろう
  15. 陸の豊かさも守ろう
  16. 平和と公正をすべての人に
  17. パートナーシップで目標を達成しよう

上記の目標は相互に関連しており、一つの目標の達成が他の目標にも良い影響を与えるように作られています。

参照:日本ユニセフ協会「SDGsってなんだろう?」

AEDとSDGsの関係

AEDに関連した取り組みは、主にSDGs目標の「3. すべての人に健康と福祉を」「11.住み続けられるまちづくりを」のふたつが挙げられます。それぞれの目標とAEDとの関係を解説します。



SDGs目標3. すべての人に健康と福祉を

すべての人に健康と福祉を

SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」は、すべての年齢の人々の健康を保障し、福祉を促進することを目指しています。多くの場所にAEDが設置・使用されることで、突然の心停止から多くの命が救われることは、「すべての人に健康と福祉を」の目標達成に寄与するといえるでしょう。

AEDの普及は、健康意識の向上につながる面もあります。例えば学校・職場・地域の研修で、AEDの操作方法を学ぶ人も多いでしょう。心肺蘇生法やAEDの使用方法に関する教育が普及すると、人々の健康に対する意識が高まり、コミュニティ全体の健康と福祉の向上につながります。



SDGs目標11. 住み続けられるまちづくりを

住み続けられるまちづくりを

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」は、人々が安心して暮らしていけるような都市(街)にすることを目標としています。

AEDが設置されていると、災害時でも都市機能や街としての機能を回復しやすくなるのも重要なポイントです。例えば地震や洪水などの自然災害の際にも、AEDを含む救急医療機器へのアクセスが確保されていると、万が一のときでも迅速な救命処置を行うことができます。AEDの存在が市民の安全性向上に寄与し、住みやすい街づくりの一助となります。

AEDを通じてSDGsに寄与できる具体的な活動

AEDを通じてSDGsに寄与できる具体的な活動

AEDを通じてSDGs達成に寄与する活動はさまざまありますが、ここでは以下の3つについてご紹介します。

  • AEDを設置する
  • 防災訓練の一環としてAED講習会を開く
  • AEDに関わるボランティア活動に参加する


AEDを設置する

「AEDの設置」は、目標3「すべての人に健康と福祉を」に直接貢献し、間接的には目標11「住み続けられるまちづくりを」など他の目標達成にも影響を与えられます。

ただし、AEDを設置するだけでは十分ではなく、設置後の具体的な行動がSDGsの達成に不可欠です。
例えばAEDの設置に加え、従業員の健康管理や意識の向上を目指すプログラムを実施したり、自主的な防災活動を実施したりすることで、SDGsの目標達成に近づきます。
AEDの設置場所が分かるよう看板を設置したり、全国AEDマップやAED N@VIなどの公共のデータベースに登録したりすることで設置情報を周知するのも重要です。市民や施設の利用者が緊急時にAEDを簡単に見つけられるようになり、都市の安全性が向上します。

参照:日本救急医療財団「財団全国AEDマップ」
   公益財団法人 日本AED財団「AED N@VI」



防災訓練の一環としてAED講習会を開く

防災訓練の一環としてAED講習会を開き、従業員や地域の人にAEDの使用方法の説明や、デモ機を使用した心肺蘇生訓練を行うのも重要です。救命技術の普及はもちろん「緊急時でもパニックにならず対応できる」「地域コミュニティの強化が図れる」などの効果が期待できます。



AEDに関わるボランティア活動に参加する

AED講習を受けるだけでなく、実際の活動や行動を通してSDGsに寄与する方法もあります。大勢の人が参加するようなスポーツイベントでは多数のAEDが用意され、AEDの搬送や必要時にAEDを使用して救命処置を行うボランティアスタッフが配備されます。
例えば金沢マラソンでは、多数のAED隊ボランティアが活躍しています。AED隊はランナーの突然の心停止に対して迅速に救命処置を行うため、マラソンコースの各所に配置されます。体調不良のランナーがいないか担当のエリアを巡回し、心停止への緊急対応、脱水症やケガなどの応急処置を行います。

他にも救命ボランティアとしてAEDを持って駆けつける「AED GO」などの活動も可能です。事前登録したアプリを入れたスマートフォンに、心肺停止発生現場の場所と最寄りのAEDの情報が通知されます。救急車よりも早く現場にAEDを届けられる可能性もあるため救命率の向上が期待でき、SDGs目標の達成に貢献できます。

参考:旭化成ゾールメディカル「金沢マラソン2023に協賛しました」

SDGsを2030年までに達成するために

SDGsを2030年までに達成するためには、政府や企業だけでなく、一人ひとりが意識を改革する必要があります。身近で実行可能な取り組みのひとつとしてAEDがさらに普及し、より多くの人が使用できるようになれば、突然の心停止からより多くの命を助けられます。いざというときのために、AEDの設置推進と一次救命処置についての知識を身につけておきましょう。

旭化成ゾールメディカルのAEDサイトでは、「AEDの使い方と心肺蘇生の流れ」が学べるコンテンツを多数ご用意しています。一次救命処置やAEDについての疑問にお答えしている「よくあるご質問」もぜひご活用ください。