AEDとは、自動体外式除細動器(Automated External
Defibrillator)の略称で、自動的に心電図の測定・解析を行ない、心臓がけいれんし血液を送り出すポンプ機能を失った心停止状態(心室細動)の傷病者に対して、電気ショックを与え(除細動)、心臓を正常なリズムに戻すための医療機器です。
かつては救急隊員や医療従事者しかAEDを使用できませんでしたが、2004年7月以降、一般市民でも使用できるようになりました。
AEDは、音声ガイダンスなどで操作方法を案内してくれるため、専門知識のない一般市民でも簡単に使用でき、公共施設、商業施設、駅、学校、企業など多くの人が集まる場所を中心に広く設置されています。
消防本部が実施する応急手当講習など、一般市民に対する普及啓発活動も行われており、救急現場に居合わせた一般市民による応急手当(胸骨圧迫・人工呼吸・
AEDによる除細動)が実施される割合は年々増加しており、令和元年には、心肺機能停止傷病者の50.7%に一般市民による応急手当が実施されています*。
心室細動とは、心臓の血液を全身に送り出す場所である心室がブルブル震え、血液を送り出せなくなった心停止状態を指します。
心電図では不規則な波形がみられ、心臓はポンプとしての機能を果たすことができないため、命にかかわる危険な状態です。
心室細動は自然に回復することがほとんどなく、効果的な治療法は電気ショックを与え除細動を行い、正常な拍動を取り戻すことであると言われています。
心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割を果たしているため、心臓が停止すると血液を送り出せなくなります。心臓が停止すると、1分経過するごとに7~10%ずつ救命率が低下する*と言われています。
*AHA(アメリカ心臓協会)ガイドライン2005
従って、いかに早く処置を開始するかが救命の鍵となります。突然の心停止の原因のひとつが心室細動です。この心室細動を治療する有力な方法は、電気ショックにより除細動をすることであると言われています。そのため、除細動が必要な心電図波形かどうかを判定し、電気ショックをするAEDが必要なのです。
突然目の前で人が倒れ、心停止状態になった場合、どのような処置をすればよいのでしょうか。
救急車の到着まで傷病者に処置をしなければ、1分ごとに7-10%ずつ救命率が低下し、10分後にはほぼ助かる可能性がなくなってしまいます。
しかし、胸骨圧迫とAEDの電気ショックによる適切な一次救命処置を迅速に行えば、1分ごとの救命率の低下を4%に抑え、10分後でも約60%の生存率を保つことができます*。
*AHA(アメリカ心臓協会)ガイドライン2005
消防庁によると、119番通報から救急車の到着までに平均9.4分*かかります。
しかし、心停止状態を発見し通報するまでの時間も含めて考えると、救急隊員による救命処置開始まで、さらに時間がかかるでしょう。
命を救うためには、「その場にいた誰か」の適切な胸骨圧迫と迅速なAEDの使用が必要なのです。
心停止から傷病者を救命、社会復帰に導くための『救命の連鎖』と胸骨圧迫に関しては、以下のページで詳しく紹介しております。
一次救命処置(Basic Life Support:BLS)とは、心肺停止状態の傷病者に対し、救急隊が到着するまでの間に行う救命処置です。
①
意識の確認 ②119番通報 ③胸骨圧迫(心臓マッサージ)④AEDの使用などからなり、傷病者の呼吸と血液循環をサポートします。
誰でもすぐ行える処置であり、傷病者の社会復帰に大きな役割を果たします。
一次救命の流れについて、以下のページで詳しく紹介しております。
みなさんが日々過ごされているオフィスや学校、施設などでは、命を守る備えが十分されているでしょうか?すでにAEDを設置していても、受付やロビーに1台だけ、という場合も多いはず。でも、それで十分でしょうか?日本心臓財団・日本循環器学会では、心停止から5分以内の除細動(電気ショック)と300mごと(早足で1分以内)のAED設置を推奨しています。
高層ビルの1階受付にのみ、広い敷地内の管理室にのみAEDを設置という状況では、十分とは言えません。すでにAEDを設置されている場合でも、大切な命を守るための適正設置を考慮した増設をご検討ください。
参考:一般財団法人日本救急医療財団「AEDの適正配置に関するガイドライン」
旭化成ゾールメディカル「AEDの適正配置をご存知ですか?」