2023年12月26日

AED(自動体外式除細動器)の使い方は知っていても、AED使用後の対処法については、実はよくわからない、という人も多いのではないでしょうか。特にAEDの設置管理者であれば、いざという時にAEDをきちんと使えるように管理しておかなければなりません。AEDの使用が必要な場面で使えないという事態にならぬよう、AEDの使用後に必要な対応と注意点を理解しておきましょう。
ここでは、AED使用後の除細動(電極)パッドの交換・廃棄など、次回のAED使用に備えるための手順を解説します。

参照:厚生労働省「AEDを点検しましょう!」
   旭化成ゾールメディカル「AEDの日常点検・管理について」

AEDの使用後の流れ

AEDの使用後の流れ

AED使用後は、速やかに以下の対応を行いましょう。

  1. パッドを注文する
  2. 使用済みのパッドはAEDに接続しておく
  3. 新しいパッドに交換する
  4. AEDのステータスインジケーターを確認する
  5. 設定モードを確認する(モード切替がある機種のみ)
  6. 外見上の傷や汚れを確認、収納する
  7. 使用済みパッドを廃棄する

1〜7の手順について詳しく解説します。

1. パッドを注文する

パッドを注文する

除細動(電極)パッドはAEDに不可欠な部品であり、使用後は新しいものに交換する必要があります。お手元に交換用パッドがない場合は、速やかにパッドを注文しましょう。AEDを購入した販売店に注文するのが一般的な流れですが、契約内容によって交換用パッドが費用に含まれている場合と、消耗品は都度購入が必要な場合があります。どちらなのかを事前に確認しておきましょう。

また、パッドのパッケージを開封したものの実際には使用しなかった、という場合はどう対処したらよいのでしょうか。パッドは使用の有無にかかわらず、開封した場合は必ず新しいものに交換する必要があります。

AEDに予備パッド付帯している場合は、そちらに交換が可能です。しかし、パッドには有効期限があるため、交換時に使用可能かどうかをしっかり確認しましょう。有効期限が過ぎたパッドを使用すると、電気ショックの効果が得られないため、有効期限を過ぎている、間もなく有効期限に達する場合は、速やかに新しいパッドを注文してください。



2. 使用済みのパッドはAEDに接続しておく

使用済みのパッドはAEDに接続しておく

新しい除細動(電極)パッドが到着し交換するまでは、使用済みまたは開封済みのパッドは、AED本体に接続した状態で保管しましょう。

パッドを取り外したまま放置すると、AEDからアラーム音が鳴ります。アラームを止めるには、パッドを再接続するか、電源をオフにしてからバッテリーを取り外す必要があります。



3. 新しいパッドに交換する

新しい除細動(電極)パッドが到着したら、以下の手順で接続します(ZOLL AED Plus、AED 3の場合)。

  • 使用済みまたは開封済みのパッドを取り外す
  • 新しいパッドの有効期限を「AED消耗品交換時期」または「消耗品情報」タグに記入する
  • 新しいパッドをコネクタの凹凸を合わせてカチッと音がなるまで差し込む
  • パッドを本体ケース内にセットする

パッドの期限管理のため、有効期限の確認と交換の年月日の記載を必ず行ってください。

AED消耗品交換時期 ZOLL AED3消耗品情報



また、AEDのアラーム音を止めるためにバッテリーを取り外していた場合は、AEDの再起動が必要です。バッテリーを装着後、本体から流れる音声案内に従いリセットボタンを押して再起動してください。



4. AEDのステータスインジケーターを確認する

AEDのステータスインジケーターを確認する① AEDのステータスインジケーターを確認する②

AEDの動作に問題がないかを確認するために、セルフテストを行います。

AEDは自動で定期的にセルフテストを行っています。セルフテストではバッテリー容量やパッドの接続状態など複数の項目が確認されます。ここでは、ZOLL AED Plus、AED 3の場合を例にご説明します。
テスト完了後、緑色の「」マークがインジケーターに表示された場合、AEDは正常です。赤い「×」マーク(AED Plus)が表示された場合、もしくはなにも表示されない場合(AED 3)は、AEDになにかしら異常があることを示していますので、販売店やメーカーへご連絡ください。ステータスインジケーターの表示方法は、メーカーや機種によって異なりますのでご注意ください。



5. 設定モードを確認する(モード切替がある機種のみ)

小学生~大人用と未就学児用モードの切替機能があるAEDの場合は、小学生~大人用モードにセットされていることを確認してください。
未就学児用モードのままだと電気ショックのエネルギー量が大幅に減るため、傷病者が小学生以上の年齢だった場合、効果的な救命処置ができなくなります。



6. 外見上の傷や汚れを確認、収納する

電源を切り、外見上の傷や汚れを丁寧に確認しましょう。汚れがある場合は、清潔な布などで拭き取ります。AED本体を清掃後、ケースやボックスに収納します。また定期的な点検に備え、収納時にはパッドの有効期限やバッテリーの交換期限が外から見て分かるようにタグを取り付けておきましょう。
また、パッドやバッテリーの消耗品に加えて、AED本体の保証期間や耐用期間の管理も忘れずに行ってください。



7. 使用済みパッドを廃棄する

取り外した使用済みの除細動(電極)パッドは、医療産業廃棄物として廃棄します。一方、開封しただけで未使用のパッドは一般的に不燃ごみに分類されますが、自治体によって取扱いが異なる場合がありますので、詳細は各自治体にお問い合わせください。



番外編:救助データの提出を依頼された場合の対処方法

救助データの提出を依頼された場合の対処方法

AEDの使用後、消防署や病院から救助データを求められることがあります。

救助データには、救命処置時の心電図データやバイタルサインなどのデータが含まれます。通常、個人が救助データを取り出すことはなく、AED本体ごと救急隊員や病院関係者に渡すのが一般的ですが、後からデータを求められた場合は、AEDのメーカーまで連絡してください。

参考:旭化成ゾールメディカル「よくあるご質問|AEDを使用しました。データを抽出したいのですがどうすればよいですか?」

また、救命処置に使用したAEDの電源は、救急隊員が到着するまで切らないでください。パッドも剥がさず、装着したままにしておきましょう。救急隊員が到着したら、AEDの電源が入ったままパッドを装着した状態で傷病者を引き渡してください。

回収されたAEDは後日消防署から返却されますが、心配であればAED設置管理者の連絡先を伝えておくとよいでしょう。

まとめ

ここではAEDの使用後、次回使用に備えるために取るべき手順について解説しました。

AEDの使用後は、次回の使用に備えてまずパッドを交換する必要があります。AEDを使用した、実際に使用しなくてもパッドのパッケージを開封したら、ここで説明した流れに沿って速やかに対応しましょう。
パッド交換時は、パッドの有効期限管理のため、タグなどに有効期限年月日の記入を忘れずに行いまいしょう。新しいパッドを接続したら、ステータスインジケーターの表示を見て、AEDが正常な状態であるかどうかを必ず確認してください。バッテリーの交換期限、AED本体の保証期間、耐用期間も併せて確認してください。

AEDは高度管理医療機器及び特定保守管理医療機器に指定されています。AEDを設置されたらいつでも使用できるように担当者を配置し、 AEDのインジケーターや消耗品(除細動パッドやバッテリー)の有効期限などを日頃から点検することが重要です。

参照:厚生労働省「AEDを点検しましょう!」
   旭化成ゾールメディカル「AEDの日常点検・管理について」

旭化成ゾールメディカルのAEDサイトでは、AEDの設置を検討されている方から、すでにAEDを導入されている方向けに、お役に立つ情報や学べるコンテンツを多数ご用意しています。一次救命処置やAEDについての疑問にお答えしている「よくあるご質問」もぜひご活用ください。