2025年6月16日
旭化成ゾールメディカル株式会社

旭化成ゾールメディカル株式会社は、医療従事者を除く一般市民約500人に対して、「一次救命処置およびAED使用に関する意識調査」を本年3月~4月に実施しましたので、その結果概要をお知らせします。
調査および結果の詳細は、【2025年度版】一次救命処置およびAED使用に関する意識調査の実施についてをご覧ください。

<調査概要>
対象者:20才以上の男女
有効サンプル数:471人
調査地域:全国
調査期間:2025年3月24日~2025年4月8日
調査方法:インターネットリサーチ


<調査結果サマリー>

  • 救命処置における胸骨圧迫(心臓マッサージ)とAEDの必要性の認知度
     目の前で人が突然倒れた場合、救命処置に胸骨圧迫とAEDが必要不可欠なことを「知っている」と回答した人は66.5%。
  • AEDを使用した救命講習の受講経験
     受講した「経験がある」と回答した人は52.7%、「受けたことがない」は46.7%。
  • 救命処置(胸骨圧迫やAEDの使用)実践の可否・意向とその理由(複数回答可)
     目の前で人が突然倒れた場合、胸骨圧迫やAEDの使用などの救命処置が「できると思う」と回答した人は24%、「できない」が44.2%、「わからない」は31.8%。
    「できない」「わからない」の主な理由は、「救命処置の内容や方法を知らない」「救命処置の内容や方法は知っているが、実際に人に処置を行うのは抵抗がある」。知識がないことや、講習受講経験があっても、実際に処置を行うことへの抵抗感が強いことがわかった。次いで、「救命処置をした結果に対し、責任を問われたくないから」、「救急隊を待った方が確実だと思うから」といった理由が挙げられ、さらに理由を複数挙げる傾向が見て取れた。
  • 女性に対する救命処置(胸骨圧迫やAEDの使用)実践の可否・意向とその理由(複数回答可)
     救命に関する知識を十分に持っていると仮定し、目の前で倒れている人が女性だった場合、胸骨圧迫やAEDの使用などの救命処置が「できると思う」と回答した人は32.3%。
    「救命処置をしたいが抵抗がある」と「できると思う」は同率では32.3%、「できない、したくない」は19.3%、「わからない」が16.1%だった。
    「抵抗がある」「できない、したくない」「わからない」の主な理由は、「衣服を脱がせたり、肌に触れることに抵抗がある」が53.8%、「セクシャルハラスメントで訴えられないか心配」が42%と大半を占め、心理的な抵抗感や法的責任を問われるのではという不安が、女性に対する救命処置実施への大きな阻害要因とであることがうかがえる。
  • 未就学児に対する救命処置(胸骨圧迫やAEDの使用)実践の可否・意向とその理由
     救命に関する知識を十分に持っていると仮定し、目の前で倒れている人が未就学児(小学校入学前の子ども)だった場合、胸骨圧迫やAEDの使用などの救命処置が「できると思う」と回答した人は38.2%、「救命処置をしたいが抵抗がある」は28.2%、「できない、したくない」は15.7%。
    「抵抗がある」「できない、したくない」「わからない」の主な理由は、「子どもに対して大人と同じように胸骨圧迫を行ってよいかわからない、抵抗があるため」が54%、「子どもに対して大人と同じようにAEDを使用してよいかわからない、抵抗があるため」が46%など、未就学児に対する救命処置の知識が不足していることが課題といえる。
  • 胸骨圧迫(心臓マッサージ)に関する知識
     「救命には胸骨圧迫が必要不可欠なこと」を知っていると回答した人は53.1%、「胸骨圧迫とAEDに使用により、生存率が2~3倍上がる可能性があること」を知っている人は40,1%、「質の高い胸骨圧迫を行うには、圧迫時の深さとテンポが必要なこと」を知っている人は36.9%と、半数以上の人が胸骨圧迫の必要性、4割の人が胸骨圧迫とAED併用の有効性について知っていることがわかった。一方で、25.1%の人は「知っているものは何もない」ことも確認できた。
  • 質の高い胸骨圧迫(心臓マッサージ)の実践の可否
     目の前で突然人が倒れた場合、その人に対し質の高い胸骨圧迫(5~6㎝の深さで1分間に100~120回のテンポで絶え間なく)を行うことが「できると思う」と回答した人が30.1%、「できないと思う」は65.8%。大半の人が救命における胸骨圧迫の必要性と有効性を認識しているが、質の高い胸骨圧迫の実践に対する自信がない人が多い結果となった。


弊社の本調査は2023年5月に続き3回目の実施となります。前回と比較し全体的な結果に顕著な変化は認められませんでしたが、AEDを使用した救命講習を受講した経験がないと回答した人の割合が4.7ポイント増加しました。受講率の低下は、新型コロナ感染症流行下で、消防署などの機関における救命講習の開催が大幅に縮小され、受講の機会が一時的に減ったことなどの影響が推察されます。

また、女性に対する救命処置に関して、「抵抗がある」「できない、したくない」と回答した人の理由として、「セクシャルハラスメントで訴えられないか心配なため」と回答した人が、34%から42%に上昇しました。調査実施前の25年1月に、インターネット番組が真偽の確認ができないにも関わらず「AEDで助けた女性から被害届が出された」という内容のSNSの投稿を紹介したことに端を発し、主にインターネット上でデマや関連情報が拡散されたことも、結果に影響を与えているかもしれません。

命を救うための善意の行動がセクシャルハラスメントなどの罪に問われることはありません。AEDを使用するのは人の命が危険に瀕している状態です。傷病者が女性でも躊躇せず、積極的に救命活動を行うことが求められます。

参考:旭化成ゾールメディカル「女性に対するAEDの使用について知っておきたいこと

突然の心停止から大切な命を救うには、その場に居合せた人による迅速な救命処置が不可欠ですが、本調査では、一次救命処置に関する正しい知識の不足や心理的な不安・抵抗感を持っているためにできない、できるかわからないと考える人が多いことがわかる結果となりました。

こうした不安や抵抗感を低減するには、積極的な救命講習の受講やインターネットなどを利用した救命処置の手順の確認、正しい知識の習得など、日頃の学習や訓練が有効です。
弊社は、本調査を通して明らかになった一般市民の一次救命処置およびAEDに関する知識や意識における課題点を踏まえ、今後も積極的な情報提供・発信と啓発活動に取り組んでまいります。

旭化成ゾールメディカルのAEDサイトでは、「AEDについての基礎知識」や「AEDの使い方と心肺蘇生の流れ」が学べるコンテンツを多数ご用意しています。一次救命処置やAEDについての知識が得られる「AEDコラム」や、よくある疑問にお答えしている「よくあるご質問」もぜひご活用ください。

旭化成ゾールメディカルは、「ひとりでも多くの目の前の命を救う」ことをミッションとし、AEDをはじめとする製品群と胸骨圧迫の技術の普及を通じて、誰もが一次救命処置ができる社会を目指しています。