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いびがわマラソンでの救命事例

2015年11月8日(日)に岐阜県揖斐川町で開催された「いびがわマラソン」において、救護スタッフの迅速・適切な救命処置により、参加ランナーの尊い命が救われました。関係者の方々のコメントをもとに、その救命処置と大会の救護体制についてご紹介いたします。

いびがわマラソン

メディカル委員会

ランナーの皆さんに「より安全・より安心」にマラソンを楽しんでいただけるよう、大学、医療機関・警察・消防・その他関係機関代表による「メディカル委員会」を2012年大会より結成し、それぞれの専門的意見を救護体制に反映させ充実を図っています。

救護体制

メディカル委員会の意見をもとに、今回は以下のような救護医療体制がとられていました。

救護所:
スタート、ゴール地点とコース上に7ヵ所、計9ヵ所設置。医師、看護師が常駐し、けがや病気の対応を行う。

自転車AED隊:
医師や救命士、看護師などで構成された約40名の隊員が、AEDや救護物品を持ち、コース上を自転車に乗って、エリア毎に巡回する。

定点AED係:
約60名の救急救命士専門学生や医学生・看護学生が1km毎のポイントに、AEDを持って備える。

メディカルランナー:
約70名の医師、看護士、救命士などが一緒に走りながらランナーをサポートする。それぞれ異なるペースで走りランナーを見守る。

救命処置当日の状況

40代の男性ランナーCさんが、スタート地点から6-7km付近で、めまいがするとうずくまったまま、倒れ込みました。第一発見者の女性ランナーから連絡を受けたボランティアスタッフが、すぐに現場に駆け付けました
Cさんは、けいれん状態の後に意識がなくなり、さらに呼吸もなかったため、即座に胸骨圧迫が開始されました。その後すぐにAEDを持ったスタッフも現場に到着しました。胸骨圧迫が続けられている中、AEDが準備されました。最初の解析で電気ショック適応となり、電気ショックを実行し、胸骨圧迫が継続されました。AEDからの「もっと強く押してください」というメッセージに励まされながら、胸骨圧迫が行われました。約2分後、Cさんの意識が回復し、その後現場に到着した救急車により、病院へ搬送されました。

「いびがわマラソン実行委員会事務局コメント」

いびがわマラソンでは今大会、心肺蘇生簡易訓練キットを購入し、岐阜大学病院、揖斐郡消防組合、揖斐厚生病院の協力のもと、ボランティアやランナー合わせて約600人の方に心肺蘇生講習会を受講していただきました。第1発見者となった女性も今回心肺蘇生講習を受けた『救護サポートランナー』であり、「講習を受けていなかったらそのまま通り過ぎていたかもしれない」と話されていました。心肺蘇生講習の大切さを改めて感じる大会でした。
これからもマラソンをきっかけに町全体に心肺蘇生とAEDが使える人を増やしていきたいと思います。

コースには90台のAEDが設置されました

コースには90台のZOLL AED Plusが設置されました

「岐阜大学医学部附属病院 高次救命治療センター 名知 祥 先生コメント」

東京マラソンなどの都市部のマラソンと違い、山間部を中心としたコースであるいびがわマラソンは、普段から救急医療の厳しい地域であるため地域をあげて大会の安全のための体制作りを少しずつ行ってきました。
今回、無事に救命・社会復帰出来たのはそういった体制作りを限られた環境の中で積み上げてきた成果だと思います。
特に、前日開催されたランナー対象の心肺蘇生講習を受講された救護サポートランナーの方が発見者の一人として適切な対応された事は、迅速にAEDが到着できた体制と共に大変大きな事でした。
昨今のマラソンブームの中、やはりランナー同士が助け合うという姿勢は大切であり、一人でも多くの方が心肺蘇生やAEDの使い方を身につけてランナー自身の手でも安全な大会を築き上げていく事が大切だと思います。

名知 祥 先生

いびがわマラソン

2015年で28回目の開催となった本大会には、ハーフマラソン、フルマラソン合わせて10,000人のランナーが参加されました。アップダウンが多く厳しいコースですが、揖斐川沿いの風光明媚な景色が楽しめることや、町を挙げてのあたたかい応援が魅力の、全国でも有数のマラソン大会の一つです。

いびがわマラソン
いびがわマラソンコースマップ

取材協力:岐阜大学医学部附属病院、揖斐川町役場

本文中の組織名、所属名、役職名などはすべて取材時のものです。