ナイジェルさんへの救いの手

AEDと聞くと電気ショックを与えるものというイメージをお持ちの方もいるのではないでしょうか。実際のところ、AEDは必ずしも電気ショックを与えるものではなく、心停止状態の傷病者の心臓の動きを解析し、AEDが必要だと判断した場合にのみ、電気ショックを行う仕組みになっています。

ここでは、ナイジェル・バートレットさんが倒れた際にAEDの電気ショックが彼の命を救った事例を紹介します。

突然の心停止が起こるまで

9月のある朝、英国ランカシャー州ボルトンにあるタートン 高校の生徒たちが授業を受けている頃、キアー建設会社の現場監督ナイジェル・バートレットは校内の建物の増築作業に従事していた。

「私は高所で足場を解体していました」と彼は言う。55歳になるナイジェルが荷物を取りに行くため足場から降りたとき、彼はほんの短い間、肩に痛みを感じたが、異常を示す兆候はそれだけだった。しかし、駐車場に向う途中で彼は突然倒れた。

救命処置当日の状況

幸運なことに、高校の施設管理者であるアンディ・モリスがたまたま近くで作業をしており、ただちに事態に対応した。アンディは、ナイジェルが 突然の心停止(SCA)に襲われたことにすぐ気づいた。アンディは学校の用務員バリー・ケリーに、近くに設置されているAED(自動体外式除細動器)を取ってくるよう頼み、配送車の運転手デレク・ミラーの助けを借りながら、直ちに胸骨圧迫(CPR)を開始した。

アンディは、「ナイジェルの様子からすぐ、心臓が止まったのだと判り、AEDが大至急必要だと思いました」と語る。

命を救う電気ショック

バリーがZOLL® AED Plus 除細動器を持って駆けつけると、アンディはAEDのパッドを素早くナイジェルに装着した。アンディは、「電気ショックを与えるよう指示が出たので1回目のショックを与えたら、ナイジェルの心臓が再び動き始めました。その後すぐ救急車が到着しましたが、そのときにはナイジェルの顔色はよくなり、自発呼吸をしていました」と当時を振り返る。

ナイジェルは、この事故のことをほとんど覚えていない。彼は、「最初に気がついたときは救急車の中でした。"一体何が起こっているのか?"と聞いたのを覚えています。次に気がついたときはマンチェスターの病院にいて、2個のステントが身体に装着されていました」と述べている。

加えてナイジェルは、「突然の心停止(SCA)が起こる前に私は30分間ほど足場の上で作業していました。あのまま足場の上にいたら、もっと深刻な状態になっていたかもしれません」と語っている。

ナイジェルは、自分の命を救うために素早く対応してくれたアンディ、デレク、バリー、そして救急医療チームに感謝している。 彼はまた、AEDを設置してくれていた高校にも感謝している。「AEDがなかったら、私はいま、ここにはいないでしょう」とナイジェルは言う。

アンディはナイジェルの救命に重要な役割を果たしたことに誇りをもっている。彼は、「ナイジェルは元気に生きている。嬉しい限りです」と語っている。

SCAという緊急事態に直面する可能性がある救助者に対し、アンディは次のように助言する

「AEDが必要かどうかがはっきりしなくても、それを迅速に確保することです。必要でなければ、ショックを与えなければよい。AEDは使用者に手順を教えてくれますから、使用によって傷病者へ害を及ぼすことはありえません」。

よく似た経験

アンディは、自身が数年前SCAを経験したことから、ナイジェルと同じ考えを共有するに至っている。アンディは次のように語っている。

「AEDが必要かどうかはっきりしなくても、それを迅速に確保することです。あの時、救急救命士が来て電気ショックを与えてくれるまでは、妻が胸骨圧迫を施してくれました。私のようにSCAの後で第二の人生が与えられたら、生き続けて常々やりたいと思ってきたことをやってください-これが私からの助言です」。

ナイジェルもこれに同意し、SCAの経験が生きることの大切さを十分に教えてくれたと云う。彼は、「私は水泳と運動を始め、これを週に3回行っています。今は9歳の孫娘とともにもっと激しい運動ができるようになっています。また、職場への復帰を楽しみにしています」と語っている。

SCAを経験した他の人々に対しても、ナイジェルは次のように提言する。

「そうした方々は自分がSCAを発症したという事実に向き合う必要があります。事実を受け入れて、人生に活かしてください。私は入院中に、これは単に私がSCAを発症しただけで終わる話ではなく、救命に取り組んだ人々、私の家族、現場にいた人たちに私は支えられていたということに思いが至りました。そこで、元気で過ごしておられるかどうかを知るため、病院から彼らに電話しました」。

他の人々へのナイジェルの思いを汲んで、彼の勤務先であるキアー 建設会社は、最近2台目のAEDを(実際に使われることがないようにとの希望も込めて)タートン高校へ寄贈した。

よく似た経験

ナイジェルはZOLL AED Plusをホーソーン小学校に寄贈しました。